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広東語発音入門 (声母・韻母計78個)

広東語には、子音22個、母音8個、成節子音2個、声調6種類があります。もしかすると、広東語を勉強しようとしてこのサイトを訪れた皆様も、「広東語は発音が難しいから勉強する必要がない」というモチベーションを低下させるような言葉をかけられたこともあるでしょう。私どもは広東語を勉強する人が少ない現状を打破し、広東語の世界的地位を上げる活動に勤しんでおりますので、皆様の背中を押すのに一役を買いたいと思います。

本稿は、広東語のローマ字発音表記方法について紹介したいと思います。発音記号毎に正面図と口蓋図(静止画またはアニメーション)を用いて音を産出する時の口の形や舌の位置を解説する上、プロによる録音を提供しております。

こちらの入門編をご覧になれば、広東語の音が発されるしくみが身につくのみならず、国際音声記号(IPA、すなわちInternational Phonetic Alphabet)が取り上げられますので、音声学の基礎も身につくでしょう。母音の生成は抽象的で、テキストだけでは伝わりにくい部分もあります。よって、母音四辺形と照らし合わせて、舌の位置を視覚的に確認しながら本稿を読んでいただければ幸いです。

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immanence和訳

日本在住の香港人。エニアグラムタイプ5。香港独立を主張、台湾・マカオ・東トルキスタン・チベット・南モンゴル等の独立を応援する。ἓν οἶδα ὅτι οὐδὲν οἶδα hèn oîda hóti oudèn oîda #拉致被害者全員奪還 #HongKongIndependence

広東語の発音の勉強法

広東語を文字で書き表される場合は漢字を使いますが、漢字は表語文字(logograph)ですので、発音を習得するのにローマ字を使用せざるを得ません。しかしながら、広東語のローマ字表記システムは実は様々あり統一されていません。その中で日本の広東語教材によく使われるのがイエール式と日本限定の千鳥式です。香港では粵拼イエール式が広東語ローマ字表記システムの主流となります。文字入力の利便性及び発音表記システムとしての完全性から、私たちは香港言語学会が考案した「粵拼」(Jyutping)をお薦めします。「粵拼」とは広東語を意味する学術用語である「粤語」と表音記号を意味する「拼音」の頭文字から形成された略称です。

どちらの表記システムを採用するかは、イエール式と粵拼の違いをよく理解してからご自身で決めていただければと思います。

粵拼の仕組み

広東語発音の習得云々言う以前に、まず表音システムの仕組みについて理解することが重要です。広東語では、漢字一字が一音節で発音されます。粵拼は広東語の音節構造を声母(initial=音節頭子音)と韻母(final=母音と音節末尾音の組み合わせ)、声調(tone)から形成されるものだと定義しています。

声母は子音(consonant)のみからなります。韻母は単母音(single vowel)若しくは複合母音(-i, -uが付くもの)、母音と子音の組み合わせ(-m, -n, -ng, -p, -t, -kが付くもの)からなります。声母が無い音節=ゼロ声母も存在します。以下に、「単母音」+(成節子音)→「複合母音」→「子音:声母(破裂音・鼻音・摩擦音・半母音と流音)・韻尾(入声韻尾・鼻音韻尾)」→「声調」の順に説明する事とします。

広東語の母音:単母音(single vowel)

単母音(single vowel)とは、声道で気流を妨げることなく作られる音声です。広東語の母音には長母音と短母音が存在していますが、文末助詞のa1またはa3を除いて、短母音は単独では韻母になれません。なお、成節子音(syllabic consonant)は単独で音節をなす子音(consonant)のことで、母音の代わりとなれますので、子音が付きません。

単母音成節子音
aa e i o u yu oem ng

aa

解説:顎を引き口を上下に極限まで大きく開く。日本語の「あ」よりも舌の位置を低くし、前舌を高く盛り上がらせる。唇に力を入れない。

音声学的記述:非円唇・前舌・広母音。IPAで書くと[a]。

e

解説:口を上下に大きく開けるがaaよりやや狭い。日本語の「え」より舌の位置をずっと低くし、前舌を高く盛り上がらせ、唇を横に引く。

音声学的記述:非円唇・前舌・半広母音。IPAでは[ɛ]と書く。

i

解説:口を狭くして左右に強く引く。前舌を高く盛り上がらせ、唇が緩まないよう気を付ける。

音声学的記述:非円唇・前舌・狭母音。IPAでは[i]と書く。

o

解説:口を上下に丸く大きく開けるがaaよりやや狭い。舌の位置を下げて後ろに引っ張る。唇を丸め、前の方に突き出す。

音声学的記述:円唇・後舌・半広母音。IPAでは[ɔ]と書く。

u

解説:口を狭くして、舌を後ろに引っ張る。唇を丸め、前の方に極限まで突き出す。

音声学的記述:円唇・後舌・狭母音。IPAでは[u]と書く。

oe

解説:口を上下に丸く大きく開けるがaaよりやや狭い。舌の位置を低くし、前舌を高く盛り上がらせる。e[ɛ]を唇をすぼめながら発音するが、同じ円唇母音o[ɔ]よりは丸みが少ない。アルファベット2文字を用いているが、二重母音ではない。

音声学的記述:円唇・前舌・半広母音。IPAでは[œ]と書く。

yu

解説:口を狭くして、前舌を高く盛り上がらせる。唇を丸め、前の方に極限まで突き出す。i[i]を唇をすぼめながら発音する。

音声学的記述:円唇・前舌・狭母音。IPAでは[y]と書く。

m

解説:唇を強く閉じ、気流を口ではなく鼻に抜けて調音する。舌先はどこにもつけず、m̩の発音に舌は関与しない。

音声学的記述:有声・鼻音。閉鎖音・肺気流子音。IPAでは[m̩]と書く。

ng

解説:口を開けたまま舌の後方を軟口蓋に押し当て、気流を口ではなく鼻に抜けて「んー」と調音する。広東語母語話者の中にはmとngを区別せず全てmと発音する現象が起きているが、mの発音にならないように口は大きく開こう。

音声学的記述:有声・軟口蓋・鼻音。閉鎖音・肺気流子音。IPAでは[ŋ̩]と書く。

広東語の発音:複合母音(complex vowel)

複合母音とは二つの単母音が連続して滑らかに発音されるものを言います。二重母音とも呼ばれますが、単母音のどれかが主母音となり、後ろにiかuが付きます。

複合母音は主母音が長母音と短母音とに分かれ、長短それぞれの母音の音色は異なります。ai、au、ou、ei、eoiは短複合母音ですので、第1要素と第2要素の長さは同じくらいです。それ以外の長複合母音では、第1要素が第2要素より長いです。また、aa若しくはaを主母音とするグループ以外は、対立せず相補分布をなします。換言すれば、aiとau以外の短複合母音に対応する長複合母音がないのです。そのため、粵拼では同じローマ字が立てられますので、IPAを用いてその違いを説明したいと思います。

複合母音

 iu
aaaaiaau
aaiau
eeieu
ooiou
i/iu
uui/
oe//

複合母音

eoi

​​

aai

解説:aaとiを連続して素早く発音する。

音声学的記述:広母音から狭母音へと変化する。前舌性・非円唇性を維持する。IPAでは[ai]と書く。

ai

解説:aとiを連続して素早く発音する。短母音のa[ɐ]は口の開きは長母音のaa[a]よりやや狭く、舌の中ほどを盛り上がらせて唇に力をいれず発音する。

音声学的記述:中舌狭めの広母音から狭母音へ、中舌母音から前舌母音へと変化する。非円唇性を維持する。IPAでは[ɐi]と書く。

aau

解説:aaとuを連続して素早く発音する。

音声学的記述:広母音から狭母音へ、前舌母音から後舌母音へ、非円唇母音から円唇母音へと変化する。IPAでは[au]と書く。

au

解説:aとuを連続して素早く発音する。短母音のa[ɐ]は口の開きは長母音のaa[a]よりやや狭く、舌の中ほどを盛り上がらせて唇に力をいれず発音する。

音声学的記述:中舌狭めの広母音から狭母音へ、中舌母音から後舌母音へ、非円唇母音から円唇母音へと変化する。IPAでは[ɐu]と書く。

ei

解説:長母音のe[ɛ]とi[i]の組み合わせは存在しておらず、短母音のe[e]が主母音である。e[e]の口の開きは長母音のe[ɛ]より狭く、舌を前にずらしながら唇を横に引いて発音する。

音声学的記述:半狭母音から狭母音へと変化する。前舌性・非円唇性を維持する。IPAでは[ei]と書く。

eoi

解説:[ɵ]と[y]を連続して素早く発音する。長母音oe[œ]とi[i]の組み合わせは存在しない。短母音のeo[ɵ]の口の開きはoe[œ]より狭く、舌の中ほどを盛り上がらせて唇を丸めて調音するのに対して、基本母音の一つであるyu[y]はi[i]の構えから唇をすぼめながら発音する。音節末音を唇の丸みを帯びないiで発音しないように注意しよう。

音声学的記述:半狭母音から狭母音へ、中舌母音から前舌母音へと変化する。円唇性を維持する。IPAでは[ɵy]と書く。

eu

解説:eとuを連続して素早く発音する。

音声学的記述:半広母音から狭母音へ、前舌母音から後舌母音へ、非円唇母音から円唇母音へと変化する。IPAでは[ɛu]と書く。

iu

解説:iとuを連続して素早く発音する。

音声学的記述:狭母音。前舌母音から後舌母音へ、非円唇母音から円唇母音へと変化する。IPAでは[iu]と書く。

oi

解説:oとiを連続して素早く発音する。短複合母音のeoiと混同されやすいが、長複合母音のoiのほうがより口を大きく動かす。

音声学的記述:半広母音から狭母音へ、後舌母音から前舌母音、円唇母音から非円唇母音へと変化する。IPAでは[ɔi]と書く。

ou

解説:長母音のo[ɔ]とu[u]の組み合わせは存在しておらず、短母音のo[o]が主母音である。o[o]の口の開きは長母音のo[ɔ]より狭く、舌を後方へ引いて唇をすぼめながら発音する。

音声学的記述:半狭母音から狭母音へと変化する。後舌性・円唇性を維持する。IPAでは[ou]と書く。

ui

解説:uとiを連続して素早く発音する。

音声学的記述:狭母音。後舌母音から前舌母音へ、円唇母音から非円唇母音へと変化する。IPAでは[ui]と書く。

広東語の発音:子音(consonant)

広東語の子音は母音の前にくる声母(initial consonant=音節頭子音)と後にくる韻尾(ending consonant=音末子音)(言語学の用語だとsyllable coda)とに分かれます。破裂音・鼻音・摩擦音・半母音と流音の4類に分けて解説します。便宜上、母音aaをくっつけて調音方法を例示します。

声母(破裂音=stop)

声母(破裂音)
bp
dt
gk
gwkw
zc

B

解説:下唇と上唇で閉鎖を作ることにより、口腔内に息をためてから、唇を静かに離しながら発音する無気音。舌に力を入れないこと。気流は鼻腔に抜けないこと。ただし、英語の/b/に比して破裂の度合が弱い。

音声学的記述:無声・無気・両唇・破裂音。閉鎖音・口音・肺気流子音。IPAでは[p]と書く。

P

解説:上のb[p]と同じ要領だが、pは強く破裂させる有気音である。

音声学的記述:無声・有気・両唇・破裂音。閉鎖音・口音・肺気流子音。IPAでは[pʰ]と書く。

D

解説:舌先を上顎の歯茎につけて出す破裂音であるが、英語の/d/に比して破裂の度合が弱い。破裂音とは、口腔内で高めた気圧を開放することによって発生する子音を指す。まず、舌先と歯茎を密着させて閉鎖を作り、空気の流れを止める。次に、静かに息を吐くと共に気圧を高めてから、閉鎖を開放して発音する。鼻に息を抜けない。

音声学的記述:無声・無気・歯茎・破裂音。閉鎖音・中線音・口音・肺気流子音。IPAでは[t]と書く。

T

解説:上のd[t]と同じ要領だが、tは強く破裂させる有気音である。

音声学的記述:無声・有気・歯茎・破裂音。有気音・閉鎖音・中線音・口音・肺気流子音。IPAでは[tʰ]と書く。

G

解説:後舌面を軟口蓋につけて出す破裂音である。破裂音とは、口腔内で高めた気圧を開放することによって発生する子音を指す。まず、後舌面と軟口蓋を密着させて閉鎖を作り、空気の流れを止める。次に、静かに息を吐くと共に気圧を高めてから、閉鎖を開放して発音する。鼻に息を抜けず、唇に力を入れないこと。

音声学的記述:無声・無気・軟口蓋・破裂音。閉鎖音・中線音・口音・肺気流子音。IPAでは[k]と書く。

K

解説:上のg[k]と同じ要領だが、kは強く破裂させる有気音である。唇に力を入れないこと。

音声学的記述:無声・有気・軟口蓋・破裂音。閉鎖音・中線音・口音・肺気流子音。IPAでは[kʰ]と書く。

Gw

解説:gと同じ要領で後舌面を軟口蓋にしっかり付け、優しく破裂させて、しかも唇を丸めて調音する。最初に唇をすぼめて、次第に広げて音声を変化させること。

音声学的記述:円唇・無声・無気・軟口蓋・破裂音。閉鎖音・中線音・口音・肺気流子音。IPAでは[kʷ]と書く。

Kw

解説:gと同じ要領で後舌面を軟口蓋にしっかり付け、破裂の度合を強くして息を出して、しかも唇を丸めて調音する。最初に唇をすぼめて、次第に広げて音声を変化させること。

音声学的記述:円唇・無声・有気・軟口蓋・破裂音。閉鎖音・中線音・口音・肺気流子音。IPAでは[kʷʰ]と書く。

Z

解説:閉鎖音[t]と摩擦音[s]が組み合わさった破擦音である。舌端を下顎の歯茎に接近させながら舌面を上顎に当てる。息を出すと共に舌と上顎の歯茎を密着させることにより気圧を高める。更に気圧を高めて閉鎖を開放して発音する。日本語の「つ」の子音である。

音声学的記述:無声・無気・歯茎・破擦音。調音部位:舌端と歯茎。中線音・口音・肺気流子音。IPAでは[ts]と書く。

C

解説:上のz[ts]と同じ要領だが、cは気流を強めて調音する有気音である。

音声学的記述:無声・有気・歯茎・破擦音。調音部位:舌端と歯茎。有気音・中線音・口音・肺気流子音。IPAでは[tsʰ]と書く。

声母(鼻音=nasal)

声母(鼻音)
m
n
ng

M

解説:唇を強く閉じ、気流を口ではなく鼻に抜けて調音する。舌先はどこにもつけず、m̩の発音に舌は関与しない。声帯の振動を伴う有声音。

音声学的記述:有声・両唇・鼻音。閉鎖音・肺気流子音。IPAでは[m]と書く。

N

解説:舌端と上顎の歯茎での閉鎖によって口から外に出ることのできなくなった空気を、鼻の方へ通すことにより生じる。広東語母語話者の中には、声母のn-がl-に合流してしまう傾向があるが、lの発音にならないようにしっかり鼻腔を共鳴させよう。

音声学的記述:有声・歯茎・鼻音。閉鎖音・中線音・肺気流子音。IPAでは[n]と書く。

Ng

解説:舌根を軟口蓋に押し付けて閉鎖を作り、気流を口から出すのではなく、鼻にかけながら発音する。日本語の鼻濁音のガ行の音「んか゚」に当たる。広東語母語話者の中には、音節頭のng-が脱落して発音されず、母音から始まることがあるが、ngと子音なしのゼロ声母を区別しよう。

音声学的記述:有声・軟口蓋・鼻音。閉鎖音・中線音・肺気流子音。IPAでは[ŋ]と書く。

声母(摩擦音=fricative)

声母(摩擦音)
f
h
s

F

解説:下唇を内側に巻き込んで、上歯を下唇に軽く当ててその隙間から息を吹き込むことで起こる摩擦の音。舌に力を入れないこと。

音声学的記述:無声・唇歯茎・摩擦音。口音・肺気流子音。IPAでは[f]と書く。

H

解説:舌と唇を脱力し、息を喉の奥で摩擦させながら吐き出す。日本語のハ行より調音点が後ろである。

音声学的記述:無声・声門・摩擦音。口音・肺気流子音。IPAでは[h]と書く。

S

解説:舌端を下顎の歯茎に接近させながら舌面を上顎に当て、その隙間に気流を通すことで生じる摩擦音。日本語のサ行より強い気流を伴う。

音声学的記述:無声・歯茎・摩擦音。調音部位:舌端と歯茎。口音・中線音・肺気流子音。IPAでは[s]と書く。

声母(半母音と流音=glide and liquid)

声母(半母音と流音)
l
w
j

L

解説:舌先を上顎の歯茎につけることにより、口腔内の真ん中を通る気流の通路を閉じ、息を舌の両側から出す。口を大きく開けて、唇に力を入れないこと。声帯の振動を伴う有声音。

音声学的記述:有声・歯茎・側面接近音。調音部位:舌端と歯茎。口音・肺気流子音。IPAでは[l]と書く。

W

解説:uの発音から舌をもう少し上に上げることにより作り出される。つまり、もう少し口を狭めて、舌を後方へ引き、唇を出来る限り丸めて前に突き出す。狭くすると言っても、摩擦が生じるところまで狭めるわけではないことから半母音(=渡り音)と呼ばれる。日本語のワ行に近い。

音声学的記述:有声・両唇軟口蓋・接近音。口音・中線音・肺気流子音。IPAでは[w]と書く。

J

解説:iの発音から舌をもう少し上に上げることにより作り出される。つまり、もう少し口を狭めて、中舌を出来る限り硬口蓋に近づける。狭くすると言っても、摩擦が生じるところまで狭めるわけではないことから半母音(=渡り音)と呼ばれる。日本語のヤ行に近い。

音声学的記述:有声・硬口蓋・接近音。口音・肺気流子音。IPAでは[j]と書く。

広東語の発音:塞音韻尾(plosive ending consonant)

塞音韻尾(入声韻尾)は、主母音を発音してから音節末音p、t、kを破裂させないままで終わる点が特徴です(言語学の用語だと内破音)。換言すれば、主母音を発声した後、この3つの子音のどれかの口型をして、閉鎖を作ることで息を止めます。これらは、日本語の促音便に似たものです。「やっぱり」、「ばったり」、「がっかり」を例として挙げますと、「yap」、「bat」、「gak」だけを発音して途中息を止めて「p」、「t」、「k」の口の構えをしますが、「pari」、「tari」、「kari」は発音しないような感じです。

塞音韻尾
p
t
k

塞音韻尾がつく場合の短複合母音はap、at、ak、ik、uk、eotです。特に後ろの三つに関しては、IPAで表記するともちろん異なりますが、粵拼では同じローマ字が立てられますので混同しやすいでしょう。例えば、utだと長母音なので[ut̚]ですが、ukだと短母音なので[ʊk̚]となります。[u]は[ʊ]に比して長く伸ばしますほか、調音点が高いです。

単母音と塞音韻尾との組み合わせ
 ptk
aaaapaataak
aapatak
eepetek
o/otok
iipitik
u/utuk
oe//oek
yu/yut/
単韻母として成立しない粵拼の綴りと塞音韻尾との組み合わせ
eot

P

aap

解説:aaを発声した後、pの口の形はするが、破裂させない。-pで収音する際、両唇を合わせることにより口腔の気圧を高めておいてから、途中で息を止める。

音声学的記述:IPAでは[ap̚]と書く。

ap

解説:aを発声した後、pの口の形はするが、破裂させない。-pで収音する際、両唇を合わせることにより口腔の気圧を高めておいてから、途中で息を止める。短母音のa[ɐ]は口の開きは長母音のaa[a]よりやや狭く、舌の中ほどを盛り上がらせて唇に力をいれず発音する。

音声学的記述:IPAでは[ɐp̚]と書く。

ep

解説:eを発声した後、pの口の形はするが、破裂させない。-pで収音する際、両唇を合わせることにより口腔の気圧を高めておいてから、途中で息を止める。

音声学的記述:IPAでは[ɛp̚]と書く。

ip

解説:iを発声した後、pの口の形はするが、破裂させない。-pで収音する際、両唇を合わせることにより口腔の気圧を高めておいてから、途中で息を止める。

音声学的記述:IPAでは[ip̚]と書く。

T

aat

解説:aaを発声した後、tの口の形はするが、破裂させない。-tで収音する際、舌端を歯茎に当てることにより口腔の気圧を高めておいてから、途中で息を止める。

音声学的記述:IPAでは[at̚]と書く。

at

解説:aを発声した後、tの口の形はするが、破裂させない。-tで収音する際、舌端を歯茎に当てることにより口腔の気圧を高めておいてから、途中で息を止める。短母音のa[ɐ]は口の開きは長母音のaa[a]よりやや狭く、舌の中ほどを盛り上がらせて唇に力をいれず発音する。

音声学的記述:IPAでは[ɐt̚]と書く。

eot

解説:短母音eo[ɵ]を発声した後、tの口の形はするが、破裂させない。-tで収音する際、舌端を歯茎に当てることにより口腔の気圧を高めておいてから、途中で息を止める。短母音のeo[ɵ]の口の開きはoe[œ]より狭く、舌の中ほどを盛り上がらせて唇を丸めて調音する。

音声学的記述:IPAでは[ɵt̚]と書く。

it

解説:iを発声した後、tの口の形はするが、破裂させない。-tで収音する際、舌端を歯茎に当てることにより口腔の気圧を高めておいてから、途中で息を止める。

音声学的記述:IPAでは[it̚]と書く。

ot

解説:oを発声した後、tの口の形はするが、破裂させない。-tで収音する際、舌端を歯茎に当てることにより口腔の気圧を高めておいてから、途中で息を止める。

音声学的記述:IPAでは[ɔt̚]と書く。

ut

解説:uを発声した後、tの口の形はするが、破裂させない。-tで収音する際、舌端を歯茎に当てることにより口腔の気圧を高めておいてから、途中で息を止める。

音声学的記述:IPAでは[ut̚]と書く。

yut

解説:yuを発声した後、tの口の形はするが、破裂させない。-tで収音する際、舌端を歯茎に当てることにより口腔の気圧を高めておいてから、途中で息を止める。

音声学的記述:IPAでは[yt̚]と書く。

K

aak

解説:aaを発声した後、kの口の形はするが、破裂させない。-kで収音する際、舌根を持ち上げて軟口蓋につけて息を止める。

音声学的記述:IPAでは[ak̚]と書く。

ak

解説:aを発声した後、kの口の形はするが、破裂させない。-kで収音する際、舌根を持ち上げて軟口蓋につけて息を止める。短母音のa[ɐ]は口の開きは長母音のaa[a]よりやや狭く、舌の中ほどを盛り上がらせて唇に力をいれず発音する。

音声学的記述:IPAでは[ɐk̚]と書く。

ek

解説:eを発声した後、kの口の形はするが、破裂させない。-kで収音する際、舌根を持ち上げて軟口蓋につけて息を止める。

音声学的記述:IPAでは[ɛk̚]と書く。

ik

解説:短母音i[ɪ]を発声した後、kの口の形はするが、破裂させない。-kで収音する際、舌根を持ち上げて軟口蓋につけて息を止める。非円唇前舌め広めの狭母音である[ɪ]は狭母音のi[i]に比べて少しだけ顎を下へ引き、舌を少しだけ後方へ引く。調音器官の筋肉の緊張を伴わない弛緩音である。日本語の「え」に近い発音になるが、長複合母音のekに比べて短く発音されるほか、口の中が狭くなっている。

音声学的記述:IPAでは[ɪk̚]と書く。

ok

解説:oを発声した後、kの口の形はするが、破裂させない。-kで収音する際、舌根を持ち上げて軟口蓋につけて息を止める。

音声学的記述:IPAでは[ɔk̚]と書く。

oek

解説:oeを発声した後、kの口の形はするが、破裂させない。-kで収音する際、舌根を持ち上げて軟口蓋につけて息を止める。

音声学的記述:IPAでは[œk̚]と書く。

uk

解説:u[ʊ]を発声した後、kの口の形はするが、破裂させない。-kで収音する際、舌根を持ち上げて軟口蓋につけて息を止める。円唇後舌め広めの狭母音である[ʊ]は狭母音のu[u]に比べて少しだけ顎を下へ引き、舌を少しだけ前にずらす。調音器官の筋肉の緊張を伴わない弛緩音である。日本語の「お」に近い発音になるが、長複合母音のokに比べて短く発音されるほか、口の中が狭くなっている。

音声学的記述:IPAでは[ʊk̚]と書く。

広東語の発音:鼻音韻尾(nasal ending consonant)

鼻音韻尾-m、-n、-ngの調音点は塞音韻尾-p、-t、-kと同じ両唇、歯茎、軟口蓋です。それぞれ息を鼻に通すか通さないかの違いだけです。息を鼻にかけて発音すると鼻が震えている感覚がする筈です。

主母音の後に音節末音-m、-n、-ngをが付く音節は、日本語の撥音の「ん」に当たります。「さんま」のように唇音が後続する場合には、「ん」も口を閉じる鼻音「m」となり、「サンタ」のように歯音が続く場合には舌先を上の歯茎につける鼻音「n」となり、さらには「さんか」のように軟口蓋音が後続する場合には口を開けたまま舌根を持ち上げ舌先を引っ込める鼻音「ng」となるのと同じ要領です。

鼻音韻尾
m
n
ng

鼻音韻尾がつく場合の短複合母音はam、an、ang、eon、ing、ungです。

単母音と鼻音韻尾との組み合わせ
 mnng
aaaamaanaang
aamanang
eemeneng
o/onong
iimining
u/unung
oe//oeng
yu/yun/
単韻母として成立しない粵拼の綴りと鼻音韻尾との組み合わせ
eon

M

aam

解説:aaとmを連続して素早く発音する。

音声学的記述:IPAでは[am]と書く。

am

解説:aとmを連続して素早く発音する。短母音のa[ɐ]は口を上下に大きく開けながら、舌の中ほどを盛り上がらせて唇に力をいれず発音する。

音声学的記述:IPAでは[ɐm]と書く。

em

解説:eとmを連続して素早く発音する。

音声学的記述:IPAでは[ɛm]と書く。

 im

解説:iとmを連続して素早く発音する。

音声学的記述:IPAでは[im]と書く。

N

aan

解説:aaとnを連続して素早く発音する。

音声学的記述:IPAでは[an]と書く。

an

解説:aとnを連続して素早く発音する。短母音のa[ɐ]は口を上下に大きく開けながら、舌の中ほどを盛り上がらせて唇に力をいれず発音する。

音声学的記述:IPAでは[ɐn]と書く。

en

解説:長母音のe[ɛ]とnを連続して素早く発音する。

音声学的記述:IPAでは[ɛn]と書く。

eon

解説:[ɵ]と[n]を連続して素早く発音する。短母音のeo[ɵ]の口の開きはoe[œ]より狭く、舌の中ほどを盛り上がらせて唇を丸めて調音する。

音声学的記述:IPAでは[ɵn]と書く。

in

解説:iとnを連続して素早く発音する。

音声学的記述:IPAでは[in]と書く。

on

解説:oとnを連続して素早く発音する。

音声学的記述:IPAでは[ɔn]と書く。

un

解説:uとnを連続して素早く発音する。

音声学的記述:IPAでは[un]と書く。

yun

解説:yuとnを連続して素早く発音する。

音声学的記述:IPAでは[yn]と書く。

Ng

aang

解説:aaとngを連続して素早く発音する。

音声学的記述:IPAでは[aŋ]と書く。

ang

解説:aとngを連続して素早く発音する。短母音のa[ɐ]は口を上下に大きく開けながら、舌の中ほどを盛り上がらせて唇に力をいれず発音する。

音声学的記述:IPAでは[ɐŋ]と書く。

eng

解説:長母音のe[ɛ]とngを連続して素早く発音する。

音声学的記述:IPAでは[ɛŋ]と書く。

ing

解説:短母音i[ɪ]とngを連続して素早く発音する。非円唇前舌め広めの狭母音である[ɪ]は狭母音のi[i]に比べて少しだけ顎を下へ引き、舌を少しだけ後方へ引く。調音器官の筋肉の緊張を伴わない弛緩音である。日本語の「え」に近い発音になるが、長複合母音のengに比べて短く発音されるほか、口の中が狭くなっている。

音声学的記述:IPAでは[ɪŋ]と書く。

ong

解説:oとngを連続して素早く発音する。

音声学的記述:IPAでは[ɔŋ]と書く。

oeng

解説:oeとngを連続して素早く発音する。

音声学的記述:IPAでは[œŋ]と書く。

ung

解説:短母音u[ʊ]とngを連続して素早く発音する。円唇後舌め広めの狭母音である[ʊ]は狭母音のu[u]に比べて少しだけ顎を下へ引き、舌を少しだけ前にずらす。調音器官の筋肉の緊張を伴わない弛緩音である。日本語の「お」に近い発音になるが、長複合母音のongに比べて短く発音されるほか、口の中が狭くなっている。

音声学的記述:IPAでは[ʊŋ]と書く。

広東語の発音:声調(tones)

広東語の発音をマスターする上で、声調はとても大切な要素です。広東語は6種類の声調を有します。-p、-t、-kで収音する塞音韻尾の場合、音の高さが第1声、3声、6声だと決まっています。

Cantonese tones chart
広東語声調表

図を見れば分かるように、高音域と低音域の2つの音域に分かれ、「上昇調」の第2、5声以外「平板調」です。普段出す声の調子の高さでまっすぐ保つのが第3声で、高い音で始め、その高さを維持して引き延ばすのが第1声で、低い音で始め、その低さをまっすぐ保つのが第4声です。第1声と第4声は歴史的に元々高降調と低降調であったと言われており、音節の最後で音を下げますが、現代はどちらで発音しようと、意思疎通に問題は生じません。

日本語でも上手に話すと言うことには、アクセント(ピッチの高低)を正しく習得することが欠かせません。ただし、意味を区別するというよりも、日本語のアクセントは単語の切れ目を表す役割の方が重要だと言えます。それに引き換え、広東語の声調(ピッチの高低)は意味の弁別に関する根幹的な機能を担っていると言わざるを得ません。子音と母音が全く同じであっても声調が異なると該当する漢字が異なりますし、意味も当然変わります。該当する漢字が存在しないことも無論あります。下記の通り、同じ「si」の発音でも6声でこれだけの意味の違いがあります。

詩[si1] 詩

史[si2] 歴史

試[si3] 試す

時[si4] 時間

試[si5] 試験

是[si6] …は…である

なお、塞音韻尾-p、-t、-kで終わる音節は第1、3、6声の3声調でのみ現れます。

的[dik1]

漢字が無い[dik3]

敵[dik6]

広東語声調の習得に役立つ語呂合わせ
(番茄醬牛腩麵一百碟)

Cantonese tones jingle

上のイラストで示された食べ物に関連する語呂合わせは、音声レベルで9種類認められる広東語の声調を覚えるのに役に立ちます。

faan1 ke2 zoeng3 ngau4 naam5 min6 jat1 baak3 dip6

番茄醬牛腩麵一百碟。

トマトケッチャプをかけた牛バラ麺が100皿。

このフレーズは高音域、低音域、入声調に対応する三字熟語が3つ並んでいますので覚えやすいです。何はともあれ、音の高低さを正確に聞き分けないことには始まりません。

語呂合わせの言葉の意味

faan1 ke2

番茄

トマト

faan1 ke2 zoeng3

番茄醬

トマトケチャップ

ngau4 naam5

牛腩

牛のバラ肉

ngau4 naam5 min6

牛腩麵

牛バラ麺

jat1 baak3

一百

jat1 baak3 dip6

一百碟

百皿

FAQs

広東語の発音はどうすれば勉強できるのか?

広東語の文字は表意文字ですので、正確な発音を習得するのに、ローマ字表音記号を覚えなくてはなりません。

どの広東語ローマ字表記システムを使うべきなのか?

広東語ローマ字表記システムはいくつか存在しますが、粵拼(Jyutping)イエール式(Yale)が主流です。私たちは文字入力の利便性及び発音表記システムとしての完全性から粵拼をお薦めします。

粵拼の仕組みについて教えてください。

粵拼表記システムでは、音節は声母と韻母、声調から形成されるものとします。

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